礪波護《鏡鑑としての中国の歴史》出版
礪波 護著
四六判 342頁 2017.06 |
978-4-8318-7716-1 法蔵館 |
税込2,700円 |
入門的な概説や人物伝、少し専門的な論文、目から鱗のコラムまで、著者がさまざまな媒体に発表してきた文章を収める。
いちばん早いものは1978年、いちばん新しいものは2016年。
東洋史家が約40年にわたって著わした多彩な文章が示す、歴史の見方、学び方。
ありきたりな結論では終わらない。礪波史学の真骨頂!
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鑑は表面にゆがみがあったり、十分に磨かれていなかったりすると、映し出される影像は、もとの姿をゆがめたり、不鮮明にしてしまう。したがって、歴史が鑑として使われる場合、往々にして「影射害人」すなわちあてこするための器具として悪用されがちになる。……歴史が過去を映しだす鑑であることは確かだが、ゆがんだ鑑には十分すぎるほど気をつけないと、危険なのである。
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目次: 歴史をつづる営みは、むかしも今も生命がけ 鏡鑑としての中国の歴史 歴史写真のトリック Ⅱ 歴史地図 宮崎市定氏旧蔵地図 ブラウ 南京および江南地図 ダンヴィル 中国全図 中国の分省地図――陝西省図を中心に ブラウの陝西省図 ダンヴィルの陝西省図 Ⅲ 政治と社会 曹操が官渡の戦いで袁紹に勝利したのはなぜ? 隋唐時代の社会と文化 白居易の生きた時代 元朝の落日と明の成立――怒りかったラマ僧の横暴と紙幣濫発 二つの革命がもたらした衝撃 中国の官僚制 Ⅳ 伝記と逸話 『世説新語』の周辺 李世民 則天武后 柳宗元 馮道 則天武后の逸話 黄巣と馮道 フビライ、元朝を建つ Ⅴ 博物館と読書 伝承・受容されたものと、伝承・受容されなかったもの 『天平之甍』と依田義賢 好きなもの 「祈りと造形――韓国仏教美術の名品」開催にあたって 三十代の骨密度 文庫本・新書判と限定本 「折口信夫の筆あと」展参観記 ――穂積生萩著『私の折口信夫』解説に代えて 奥山直司著『評伝 河口慧海』解説 古典再読―宮崎市定著『東洋的近世』?(中公文庫) 礪波護編『平岡武夫遺文集』編集後記 カバヤ文庫、京都の力が支え Ⅵ 東洋史と中国 東洋学 中国学 アンリ・コルディエ 東洋史とアジア史の呼称 東洋史学の十人 内藤湖南(一八六六―一九三四) 桑原隲蔵(一八七一―一九三一) 宮崎市定(一九〇一―一九九五) 藤枝先生の功績調書 日本にとっての中国 あとがき |
著者紹介: |
1937年、東大阪市生まれ。八尾高校をへて、60年、京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。同大学大学院博士課程を了え、京都大学人文科学研究所助手、神戸大学文学部助教授、京都大学人文科学研究所教授、同大学大学院文学研究科教授を歴任し、2001年、停年退官。京都大学名誉教授。その後、大谷大学文学部教授、同大学博物館長を勤める。文学博士。専門は中国の政治・社会・宗教史。
著書に『隋唐佛敎文物史論考』『隋唐都城財政史論考』(ともに法藏館)、『唐代政治社会史研究』(同朋舎出版)、『地域からの世界史② 中国 上』(朝日新聞社)、『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』(共著、中央公論社。のち中公文庫)、『馮道――乱世の宰相』、『唐の行政機構と官僚』、『隋唐の仏教と国家』、『唐宋の変革と官僚制』(ともに中公文庫)、『京洛の学風』(中央公論新社)、『敦煌から奈良・京都へ』(法藏館)、編著に『中国貴族制社会の研究』、『中国中世の文物』(ともに京都大学人文科学研究所)、『京大東洋学の百年』(京都大学学術出版会)、『中国の歴史』(全12巻、講談社)、『中国歴史研究入門』(名古屋大学出版会)。ほかに編集・解説多数。
詳見
http://www.hozokan.co.jp/cgi-bin/hzblog/sfs6_diary/2280_2.pdf